子供時代の私は、人との距離が上手く取れなかった問題児でした。
1人になると、いつも物語の世界に浸っているような、大人しい子。
外で真っ黒になって走り回るより、家の中で本を読んだり、物語を作ったりしている方が好きでしたし、同い年の子達たちとおしゃべりするより、動物と目で会話する方が気分が上がる、そんな感じの子供時代でした。
明るくて活発で、いつもキラキラと輝いている空想の世界の住人たちに憧れ、空を飛んで魔法を操る不思議な男の子に、本気で恋をしていました。
現実世界で何があっても、物語に浸っている時は元気でいられましたし、何でも出来そうに思える、力強く不思議な力に包まれました。
そんな夢に憧れつつも、心のどこかでは、ちゃんと分かっていました。
その世界は現実に存在するものではなく、いつかは忘れなければならないこと、大人になるということは そういうことなのだと。
けれど私は、大人になってからも、その夢を手放せないピーターパンでした(苦笑)
それならば それでいい・・・。
そう思えるまでに随分、時間がかかりました。
周りの人と違い、いつまでも子供みたいな事を考えている自分が、妙に恥ずかしく、それでも、捨てきれない、確かに存在する世界。
誰に認めてもらわなくても、それはそれで構わなかったのです。
悩んだ末に そう割り切ることで、いつしかファンタジーは私にとって、かけがえのない心の支えになっていきました。
「癒し」としての童話(2)
架空世界にどっぷりとはまり、誰に理解も求めることもなく、割り切りながら大人になり、それでも現実の忙しさの中で、いつしかあの日の想いは消えていました。
毎日をただ何となく過ごすだけの日々。
私の心は、何とも言えない虚脱感に襲われていきました。
再び、私の心は少しずつ沈んでいきました。
そして、うつ病発症・・・。
病気の原因、きっかけなんて、ほんの些細なことです。
巻きすぎたコイルは、いずれ弾けるものです。
それが、いつ弾けるか・・・あとは タイミングの問題だけです。
うつうつとした日々、まるで世界にモノクロのフィルターをかけたみたいに、色のない景色に、笑えない日常。
世の中に、自分1人だけが取り残されているような、終わりのない孤独と止まらない涙。
そんな時、ふいに思い出したのです。
「そういえば、しばらくペンを握ってないな・・・」
その瞬間、私の中で何かが音をたてて崩れていきました。
あの世界を私は忘れてはいけなかったのです!
「無理に変わろうとしなくていい。また、書いてみよう・・・。」
弱い私も、ダメな私も、丸ごと愛してあげようと決めた瞬間でした。
こうして私は、癒すための童話「自分のために書く童話」を再び書き始めたのです。